転職エージェントの仕組み
ここでは、転職エージェントというサービスの仕組みについてご説明します。
転職エージェントに登録すると、転職のカウンセリングから求人の紹介、面接のアドバイスから年収の交渉まで本当に手厚い転職サポートを行ってくれますが、これらのサポートは全て無料で受けることができます。
また、転職サポートを無料で受けられるだけではなく、会社によっては転職に成功すると祝い金までくれるというまさに至れり尽くせりのサービスを提供してくれるわけですが、なぜ転職エージェントはこれらの手厚いサービスを看護師の皆さんに無料で提供してくれるのか、疑問をお持ちの方も多いのではないかと思います。
それは、転職エージェントというサービスの仕組みを理解することで分かります。
転職エージェントが持つ2つの顔
転職エージェントは、看護師の皆さんから見ると「無料で色々と転職の世話を焼いてくれるハローワークのような会社」というイメージかもしれませんが、実は2つの顔を持っています。
- 求職側(看護師)に対する転職の支援・サポート
- 求人側(病院・クリニック・施設など)に対する採用の支援・サポート
上記の通り、転職エージェントは仕事探しをしている個人に対する転職サポートという側面だけではなく、優秀な人材を採用したい求人側に対する採用支援やサポート、採用のコンサルティングを行っている企業でもあるのです。
看護師専門の転職エージェントの場合、求人側は看護師を採用したい病院やクリニック、施設などとなりますが、現状では多くの病院や施設が看護師の確保に苦戦していますので、その看護師採用サポートをしているのが転職エージェントなのです。
転職エージェントは、病院や施設からお金をもらう
上記で説明した通り、転職エージェントは病院や施設などの求人側の採用支援企業でもあり、個人ではなく病院や施設から看護師採用の成功の見返りとして費用をもらうことで運営されています。
病院や施設から費用をもらっているからこそ、求職者である看護師の皆さんからは費用を頂かなくても事業が成り立つわけですね。
そもそも、転職エージェントの事業を行うためには厚生労働省から「有料職業紹介事業」に関する認可を受ける必要がありますが、この「有料職業紹介事業者」は職業の斡旋にあたり求職者から費用を受け取ることが法律で禁じられているため、基本的には転職する側ではなく、採用する側から費用をもらうというのが基本的な仕組みとなっているわけです。
採用費用はどれくらい?
それでは、病院や施設は、皆さん一人を採用するのに転職エージェントに対して一体どれくらいの費用をかけているのでしょうか?
転職エージェントの採用支援費用の請求の仕方は、一般的に下記のようになっています。
- 採用成果報酬(採用が決定した時点ではじめて課金。利用するだけなら無料。)
- 成果報酬費用は年収の約15~20%
- 返金の規定もある(入職後、早期に退職した場合、返金することがある)
初めて聞く言葉も多いと思いますので、詳しく解説していきます。「採用成果報酬」とは、「採用が決定した時点ではじめて報酬が発生する」という意味です。つまり、病院や施設は看護師の採用支援を転職エージェントに依頼したとしても、その転職エージェントから紹介された看護師を実際に採用しない限りは、転職エージェントに費用を払う必要はないのです。
つまり、看護師の紹介を受けるのも、面接をするのも、それだけなら無料でできるということです。しかし、紹介を受けた看護師を採用すると、その時点で費用が発生します。
より正確に言うと、採用が決定し、入職日も確定し、実際に入職初日に看護師が出勤してきた確認がとれてはじめて成果報酬の対象となります。
そして、そのときの成果報酬費用の相場は、一般的に年収の15%~20%程度です。このときの「年収」とは、皆さんの前職の年収ではなく、入職にあたって提示されている年収条件の15%~20%程度、ということです。
そのため、例えばあなたがとある病院から年収400万円の提示を受けて承諾したとすると、病院から転職エージェントへは400万円の15~20%にあたる60~80万円が支払われる、ということです。
しかし、もし万が一、採用した看護師が入職後すぐに辞めてしまったら、病院や施設はせっかく高い費用を支払って採用したのに、そのお金が全て無駄になってしまいます。そのため、紹介した看護師が早期に退職した場合、ほとんどの転職エージェントは返金の規定というものを設けています。
例えば、入社1ヵ月以内に辞めた場合は90%の返金、入社3ヵ月以内に辞めた場合は50%の返金、入社6か月以内に辞めた場合は20%の返金、などのように、在籍期間に応じて返金の料率を変えているケースもあれば、入社1ヵ月以内に辞めた場合は全額返金、それ以降は返金なし、などのように一律で定めているケースもあり、具体的な規定については転職エージェントにより異なります。
このように、転職エージェントの採用支援サービスは採用側である病院や施設の立場からすると「いくら候補者の紹介を受けてもいくら面接をしても、採用しない限りは無料」「採用した人材がもし万が一すぐに辞めてしまった場合、返金してもらえる」というとてもリスクが少ないサービスであり、その分、採用が決定した際の費用については少し割高になっています。
有料の求人広告などを活用して採用する場合、広告料金は転職エージェントと比較すると安いかもしれませんが、いざ広告を出してみても応募者が少なかったりして、結局採用につながらないというケースが良く起こります。広告の場合、もし採用ができないと費用は全て無駄になってしまいますが、転職エージェントの場合は採用成果報酬制のため、採用にかけた費用が全て無駄になるということは絶対にありません。
転職エージェントの採用支援サービスにはこのように採用側から見たメリットがあるため、たとえ費用は少し割高でも、できる限り無駄な費用をかけたくない病院や施設は、転職エージェントを活用して効率的な採用活動を進めようと考えるのです。
転職祝い金は、どこから出ているの?
看護師専門の転職エージェントの中には、自社を通じて無事に転職が決定すると、祝い金として数万円から高いところでは数十万円ものお金をプレゼントしてくれるところがあります。
「なぜ無料で転職サポートまで受けられて、転職に成功するとお金までくれるのか?」話がよすぎて逆に怪しいと感じてしまう看護師の方も多いのではないかと思います。一体この祝い金とは、どこから出てくるお金なのでしょうか?
祝い金は、採用側が転職エージェントに支払う費用の中から支払われる
上記で説明した通り、看護師を採用する側の病院や施設は、採用が決定すると転職エージェントに年収の15~20%程度の金額を支払う必要があります。そして、皆さんがもらう祝い金は、この金額の中から捻出されているのです。
祝い金の話をすると、このお金は「提示された自分の給料から削られているのではないか?」と疑問に感じる方もいるのですが、実際にはそんなことはありません。
病院や施設などの採用側から皆さんに提示された給料はもちろんその通りに支払われますし、祝い金があってもなくてもその金額に代わりはありません。あくまで祝い金は、転職エージェントが採用側から受け取る費用の一部を、看護師の皆さんに還元する意味で用意されているシステムなのです。
転職エージェントとしては、たとえ祝い金を支払ってでも、少しでも多くの看護師の方に登録してもらい、より多くの紹介実績を作ることが結果的に自社に利益につながると考え、中には採算度外視とも思われるような高額な祝い金を用意しているところもあるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。転職エージェントの仕組みが少し理解できましたでしょうか。
転職エージェントは病院や施設からお金をもらって事業を運営しているということを知ると、なぜ手厚い転職サポートを無料で提供してくれるのか、転職に成功すると祝い金までくれるのか、という謎が解けますね。
転職エージェントは決して怪しい企業ではありません。転職エージェントの事業を運営するためには「有料職業紹介事業」という厚生労働省の許認可が必要であり、しっかりとした国のお墨付きを受けている企業なのです。
中には転職エージェントを利用して転職活動をすると病院や施設側に費用負担が発生してしまうという点が気にする方もいらっしゃるかもしれませんが、心配する必要はありません。
多くの病院や施設では本当に看護師の採用に苦労しており、看護師を採用するためには多少の費用をかけても構わないと考えています。
むしろ、実際には業績が良い病院ほど採用の重要性を良く理解しており、優秀な看護師を数多く抱えて医療サービスを向上させることが結果的には病院の経営状況を改善する一番の方法だと良く分かっているので、採用費用を節減するどころか、採用費用は惜しまずに優秀な看護師の採用しようと必死に努力しています。
そのため、転職エージェントを利用して採用活動をしている病院や施設の中には、人気の病院や業績が良く患者からの評判が良い病院なども数多く含まれています。
ぜひ転職エージェントを利用して、自分の理想の病院や施設への転職を実現しましょう。